朝日・大学パートナーズシンポジウム 関西発ファッションを考える -実践的なデザイナーの育成と情報発信-
基調講演 松本零士氏「キャラクターとファッション」
場所:大阪府大阪市 宝塚造形芸術大学 梅田キャンパス
開催日:2005年11月23日
主催: 宝塚造形芸術大学・朝日新聞大阪本社(朝日・大学パートナーズシンポジウム)
■教授・松本零士先生としての講演会
今年の4月から教授を務めている宝塚造形芸術大学で、松本零士が登場するイベントが行われた。タイトルもまさに「キャラクターとファッション」という、芸術大学にふさわしいタイトルで、いつもと違う内容が聞けるのではないかと大いに期待された。300名限定のイベントだったが、申し込みが遅かったにもかかわらず入場券をゲットできた。しかし、会場は満員。と思ったら、学生がほとんど(9割くらい?)だった。終了後に出席を取っていたみたいなので、単位収得には必要な講義だったのだろう。
基調講演に先立って、朝日新聞大阪本社編成局長と宝塚造形芸術大学学長の挨拶があった。
■松本零士先生のキャラクター論
さて、松本零士先生の話はタイトルを変えながらも、いつもほとんど同じことを話しているのだが、今日は半分くらいが少しいつもとは違う話だった。いつもと同じ主な話は次のものかな?
・明石時代の手塚さんとの映画館での共通体験
・小中高と授業中に漫画を描き続けていたこと
・朝日新聞西部本社での体験
・大洲時代の体験、スズメバチ退治の話
これまでのいろんな場所における体験が、重要だったということを力説していた。
「都会、田舎、川や海、米軍のいる世界など、あらゆる環境でコスチュームについても見ることができた。戦後もファッションの移り変わりを全て見て学ぶことができた」
漫画におけるキャラクターも、顔、体型、服装の全てが重要で、人物設定を考えて作成している。
「キャラクターの性格表現に必要なデザインを施している。さらには、実際に存在しうる(着られる)デザインであることが重要だ。でも自分は歩くゴミ箱と言われるくらいあまり身なりは綺麗ではないが。」
先生の登場とともにメーテルの等身大の人形も用意されていて、それを見ながらの説明もあった。
「メーテルなどの女性キャラがなぜ髪が長いのかは、漫画でヌードを描く場合に髪の毛で衣装のように隠すことができるため。それと、昔からのあこがれもある。」
なるほど、松本先生の漫画では長い髪を衣装のようにうまく活用しているのは特徴だ。
「キャラに目的意識を持たせる服装にすることも重要。性格を色で表現したり、色による遠近法を使ったりもできるが、漫画においては背景色とのバランスも重要。また、空白も絵の1つだということもできる。何にしても、常にどんな時代を描いても古くささを感じさせないことも必要なのです。」
もっともながらこだわりが感じられた。話は少し生理学的なところまで及ぶ。
「心臓からの血流は右目の方に先に巡るので、交差神経の関係で目の反応速度にも違いがある。右から左に飛ぶものは速いと感じる場合がある。」
いろいろ話は右往左往するが、最後に、デザインや漫画の世界を志す人へのアドバイスがあった。
「好きなキャラには好きな服、嫌いな(悪者)キャラには嫌いな服を。色・モノ・背景とのバランスも考えて絵を描いてほしい。また、名称を付けるときも意味を持たせること。自分の感覚を信じて、好きなモノを好きなように描いていって欲しい」
講演時間を5分ほどオーバーするものの、松本零士先生にしては珍しく長引かずに終わった。後にもプログラムが控えて力を温存とか??
■パネルディスカッション
パネルディスカッションは、はっきり言ってディスカッションにはなっていなかった・・・しゃべりまくる松本零士先生!基調講演でしゃべり足らなかったのか? ほかのメンバーも負けじとしゃべりまくる。松本零士先生と玉岡かおるさんの2人がほとんどの話だった印象がある。面白い話がたくさん出ていたが、ここでは省略します。
■プログラム
13:00 開場
13:30 ご挨拶
田仲拓二(朝日新聞大阪本社)
五十嵐淳(宝塚造形芸術大学 学長)
13:40 基調講演
松本零士氏「キャラクターとファッション」
14:15 宝塚造形芸術大学の取り組み
崎田喜美枝(宝塚造形芸術大学大学院 教授 芸術学博士)
栗本幸枝
(スペースデコ株式会社 代表取締役 宝塚造形芸術大学卒業 博士後期課程在学中)
14:45 休憩
ファッションショー映像上映
“ユニベルシテ ド 宝塚コンテスト2005 ノミネート作品”
15:00 パネル・ディスカッション
<コーディネーター>
菅原正博教授(宝塚造形芸術大学専門職大学院 デザイン経営研究科長)
<パネリスト>
松本零士氏(マンガ アニメーション作家) 「キャラクターとファッション」
玉岡かおる氏(作家)
山下幹生氏(前 財団法人国際デザイン交流協会ディレクター)
「姉妹都市 ミラノと大阪のデザインビジネスの交流」
崎田喜美枝(宝塚造形芸術大学大学院 教授 芸術学博士)
「ファッションアートのデザイン教育」 |
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